カテゴリ:日用品
日本手拭いの専門店巡り
・この季節になると必ず手拭いを持ち歩きます。手拭いは「和」に優るものはありません。水分の吸収が良く、すぐ乾き、肌触りも良くサラッとしていて涼しい。洋タオルは何度も洗わないと吸いが悪く、第一かさばります。
・それに頭に巻いたり、マスク替わりやいざとなったら包帯にもなります。水で濡らして首に巻けば熱中症対策にも。しかしそれよりなによりいいのは、柄や意匠を楽しめることでしょう。
・季節に合わせた絵柄や模様もありますが、験を担ぐ縁起物はなんかいいことありそうで使いたくなります。また江戸時代に流行った判じ物も面白いですし、歌舞伎好きならひいきの役者の手拭いを選ぶという手もあります。
・というわけで、今年の夏手拭いを探して、東京の手拭い専門店を3か所まわりました。
・代官山の猿楽町にある「かまわぬ」本店、手拭いの大手です。こじんまりとした店ですが今風意匠もいろいろあって、バラエティーに富んでいます。銀座伊東屋などいろんな店で買えます。
・たこ涌。水蒸気のような立ち昇る上昇運と多幸と蛸を重ねた縁起のいい手拭い。ひょうたん。必ず実が付くひょうたんにあやかった幸運の実る柄。ひょうたん六つの柄は瓢箪が6で無病(むびょう)に掛けた縁起物。
・下の目出鯛はわかりますが、上のトンボ柄は勝負に勝つという柄。トンボは勝ち虫といいます。なぜなら必ず前へ飛び、後退しないことからそういいます。武士の発想ですね。
・新装なった歌舞伎座の斜め前にある銀座の大野屋。歌舞伎役者の手拭いが揃っています。手拭いはもともと江戸時代に歌舞伎役者が考案した柄が多いです。かまわぬ(草刈りの鎌の絵と輪っかとぬの判じ物は七代目市川団十郎の印)や佐野川市松が起源の市松模様などなど。今も歌舞伎役者や落語家の襲名披露では手拭いが配られます。
・狸。これもトンボと同じ勝負ものです。タヌキは他を抜くに通じ、他人を出し抜いて勝つという意味です。新しいことをやる人はこれですね。
・浅草の浅草寺そばにあるふじ屋。江戸の判じ物を復刻しています。非常に美しいので、額装した方がいいです(額装も売っています)。
・これは鯨の目です。手拭いをぶら下げて暖簾にすることもできるのですが、これはそうやって使えません。目鯨を立ててはいけません。江戸の判じ物です。
・目の出た鯛で、目出度い。大きな一枚柄なので額装向きです。このふじ屋の手拭いは他の手拭いが800円台から1200円台なのに比べて、この鯛も鯨も1550円と少々高価。
次号5月31日金曜日
by 2013.05.27