・小鹿田焼（おんたやき）に出会ったのは23年ほど前。バンドのメンバーだった故毛利甚八に小さな取り皿を貰いました。TVドラマにもなったヒットコミック「家栽の人」の原作者で、奥方が大分県出身だったからだと思います。

・大分県日田市、小鹿田皿山の山間で作られる小鹿田焼は、一子相伝で、10軒ほどが水力、天日、足ろくろ、薪の登窯というすべて自然力だけで作る素朴な陶器で、個人名を器に入れません。作品というより日用品ということでしょう。

・昔は民藝好きの好事家が楽しんでいた陶器だったのですが、最近はわりとどこでも目にするようになりました。中でも飛び鉋（かんな）という刃物で螺旋状に模様をつけたものがグッドデザインで（兄弟である小石原焼にもあります）、和洋中何にでも合います。

・内側にも飛び鉋模様を入れた、ちょっと珍らしい茶碗があったので手に入れました。こういう民藝系の器は、薄く軽く丈夫な有田焼などの磁器に比べて重く弱いのですが、味わいはあります。機械を使う大量生産品ではなく、今風に言えばSDGs製品なので、やや高価です（3300円）。

次号8月5日月曜日