カテゴリ:メディア
面白い作品にはこの3要素が必ずある
・永倉万治という優れた作家がいました。残念なことに若くして病気で亡くなってしまったのですが、彼が長倉恭一という本名でフリーのライターをしていた頃、ちょうどアウトドア雑誌BE-PALの創刊少し前に知り合い、仕事をしてもらいました。
・その彼とよく話した"フレーズ"があります。それは、コピーライト、タイトル、それに見出しに必要な3要素。
1:わかりやすい
2:おもしろい
3:工夫がある
・これはフィクションや小説などでも同じことが言えます。おもしろいのは当たり前ですが、わかりやすいことも重要です。なじみのない作家の小説を読んでいて、前書きが長かったり、あっちに飛んだりこっちに飛んだり脇道に逸れすぎが多いと、途中で本を投げ出します。最近のスティーブン・キングがそうです。
・時々日本人作家の話題作を読んでみるのですが、なかなかこの3要素を満たすものがエンターテインメント小説にないです。よく読む海外翻訳ミステリーやサスペンス小説でも同じことが言えます。
で、結局馴染みの作家を読むことになります。
・最近読んだのがジェフリー・ディーヴァーの「ウオッチメーカーの罠」四六判上製 文藝春秋。このところ低調のディーヴァーですが、リンカーン・ライムシリーズの昔の傑作「ウオッチメーカー」なる知能犯と再びあいまみえる今作は面白いです。前作では逃げられているので解決編ということになります。
・もう一つ。法廷ものの名手、ジョン・グリシャムが久々に登場。ただ今回の「告発者」新潮文庫は裁判ものではなく、悪徳判事を告発する司法審査会の調査員が主人公のリーガル・サスペンスで、まさにわかりやすく、おもしろく、工夫がある作品になっています。
次号11月18日月曜日
by 2024.11.15