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翻訳小説の登場人物は3~4人がいい
・カヌーで知られる野田知佑さんが、
「外国の小説は登場人物がトム、マイク、ジェーンの3人ぐらいがいいよな」
と言ってました。英語教師だった野田さんでもそう思うんですから、翻訳ミステリーで10人も20人も出てくると、途中で投げ出したくなります。
・さらに英語圏の話ならまだしも、とくに最近流行の北欧となると馴染みのない名前ばかりでついていけなくなります。
・それでも面白いものは面白い。耐えてたどり着く傑作も多々あります。スウェーデンのマルティン・ベックシリーズ(マイ・シューヴァル&ペール・ヴァルー夫妻/著)や最近の大ベストセラー「ミレニアム」(スティーグ・ラーソン/著)とかとか。
・そんな一冊がまたありました。前述のマルティン・ベックシリーズの映画脚本を手がけたというシッラ&ロルフ・ボリリンド夫妻の「満潮」上下、創元推理文庫。ただし登場人物が多い。
・スウェーデン・ストックホルムの警察大学三年の女子学生が主人公で、亡くなった父親の未解決事件を調査してレポートするというストーリーなのですが、取り巻く人間がなんとも多い。
・多数の元を含む警察官、検事、判事、鑑識官、精神科医、企業経営者、リゾート施設オーナー、エスコート組織の女ボス、売春婦、ホームレス、情報屋、カジノのディーラー、そしてジャーナリスト‥‥。これだけで引いてしまいますが、なるほど! と手を打つ最後のオチがあって、苦労して読む価値があります。
・いつも思うのですが、登場人物のリストは名前を出したなら全部載せてもらいたいです。講談社文庫は登場人物栞があって便利なのですが、やはり主要だけです。読者ファーストにして欲しいことの一つです。
次号12月26日月曜日
by 2016.12.23