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AIが気になる人は読むべきサスペンス小説
・ダン・ブラウンの新刊が出ました。「天国と地獄」でデビュー、映画になった「ダビンチコード」は2003年ですから、あれから15年経ちましたが、またまた問題提起です。
・今度の「オリジン」上下2巻・角川書店は、“われわれはどこから来て、どこへ行くのかー。”に迫ります。帯のキャッチにあるように、鍵を握るのは「進化論」と「人口知能」ということで、この科学と宗教の関係がテーマになります。
・たしかに宗教では、生命は神が作り、死後は天国か地獄かで、われわれはどこから来て、どこへ行くか答えは出ています。これにダン・ブラウンは挑戦します。
・主人公のロバート・ラングドンは宗教象徴学者なので、今回も謎解きに建築物やシンボルマークが登場します。舞台はスペイン、バルセロナ、あのガウディの街です。
・いつものように冒頭に「この小説に登場する芸術作品、建築物、場所、科学、宗教団体は、すべて現実のものである」とあります。
・生命45億年の歴史は、多様化の歴史であると前から思っています。細胞分裂から雄雌の登場、進化論もすべて、良い悪いや効率も機能も関係なくただ多様化することがすべてではないか。ダン・ブラウンは、生命誕生はエネルギーの拡散がもたらしたという説を紹介していますが、ちょっと近い。
・ところで生物の分類は、最近はこうなっています。
1.動物界
2.植物界
3.原生生物界→ゾウリムシ、アメーバ、単細胞真核生物
4.真正細菌界→いわゆる細菌、バクテリア、大腸菌など
5.古細菌界→メタン細菌、硫黄細菌など高温、高塩濃度下で生育
6.菌界→キノコ、カビ、酵母
・そして、量子コンピューターによる人工知能AIが登場すると、第7の界が生まれるかもしれないと言うのですが、はたしてどうなんでしょう。
・体内にチップを入れたり、生体認証が始まったり、細胞を創ったり、最近の最先端テクノロジーをみていると生命とデジタルの融合は着々と進んでいます。
・このダン・ブラウンの「オリジン」も服部真澄の「クラウド・ナイン」もそうですが、AI、ディープラーニング、IoT、ビッグデータ、ナノテクノロジーなどなどが、ミステリーやサスペンスのテーマとしても面白い時代になりました。
・それにしても、四六判上製本では重くて持ち歩けないし、高価(オリジンは上下で3600円)なので最初から文庫で出版してほしい。読者の気持ちを忖度しない出版業界、不振の理由の一つ。負のスパイラルです。
次号3月19日月曜日
by 2018.03.16