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シニア読本、これが一番まとも
・高齢者向けの生き方ガイドブックが続々出版されます。高齢社会のせいもあるのですが、モノ書き(学者、評論家、著名人など)の高齢化もあると思います。
・編集者の"性"として流行りに付き合うのですが、正直言ってたいしたものはありません。曰く「人生を楽しめ、社会と関われ、好奇心を持て、恋をしろ、ニコニコ生きろ、子孫に金を残すな‥‥」などなどの提言。
・著名人のこういったアドバイス、学者にしろ、作家にしろ周りに人や情報が集まってくる有名人だからできることだらけです。周りがほうっておきませんから。
・そんな中、英文学者の戸山滋比古さん(2020年7月、96歳で亡くなりました)の「老いの整理学」(2014年・刊 ふそう新書)は別格です。2022年8月で15刷なのもよくわかります。
・聖路加病院の日野原重明氏について、「"100歳超えても現役医師"なんていってるが、ああいうのはバカ。若い人と同じ仕事をせずに、道を譲って自分にしかできないことをやるべき」と、歯に絹着せぬ物言い、さすが知の巨人(「思考の整理学」1983がベストセラー)。
・面白いのでいくつかピックアップしてみます。
⚪︎モノを忘れる努力をする‥忘れれば頭は良く働く
⚪︎老人は怒ってよろしい。怒った方が健康的
⚪︎言いたいことを言わないとストレスが溜まる
⚪︎嫌われて元気に長生きする
⚪︎謙虚になって大人しくなると歳より早く衰える
⚪︎眠れないでクヨクヨしない 横になるのが第一、睡眠は第二
⚪︎誤嚥を防ぐには、皿に顔を付けるように食べる
⚪︎水は口に入れてから頭を下げて飲む
⚪︎歳を取ったら上を向いて歩くな、下を向いて歩くのが賢明
⚪︎料理は手の散歩である
・以上、無名の小市民でもできることばかりです。中に、歳を取ったら「義理欠け、転ぶな、風邪引くな」という老人訓が出てきます。元首相の岸信介の言葉だそうですが、これを「義理欠け、恥かけ、風邪引くな」がいいと個人的に思っています。
次号8月29日月曜日
by 2022.08.26