クールシニアのウェブマガジン

毎週月・金曜日発行

クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:メディア 

長いものに巻かれろという国民性

・世界の様々な人種の人が乗った船が難破。脱出ボートに全員乗れないので有志を海に飛び込ませようと船長が発する言葉‥‥という小話があります。

・イギリス人には「紳士から先に」、ドイツ人には「船長命令です」、アメリカ人には「大丈夫、保険に入ってます」、そして日本人には「みんな飛び込みましたよ」っていうお国柄話。世界的にわれら日本人はそう思われているようです。

 

・なぜ日本人はみんなと同じように行動したがるんでしょうか。コロナ禍でも、法律を作らずとも皆マスクをします。農耕民族なので、個より集団行動を優先するというのはあります。"多少理不尽なことがあっても同じ文化を共有し、その中でヌクヌクと暮らす快適さ"と司馬遼太郎氏も言っていますが、強制というより好んでそうしているように見えます。

 

・ところが多様化が進んで一括りにできなくなりました、音楽やスポーツの好みもバラバラですし。さらに同じを求められて息苦しくなり、"同調圧力"などと言うようになりました。そこで小学館新書の新刊「同調圧力のトリセツ」を読んでみました。演出家・鴻上尚史氏と脳学者・中野信子氏の対談です。

 

・中野氏によれば、"精神を安定させるセロトニンの運び役であるセロトニントランスポーターの数が日本人は少ない。97%が数を少なくする遺伝子を持っていて、不安になりやすい民族なのだとか。なぜかというと、日本は災害が多いのでリスクを避け、不安傾向の強い人が生き延びたからではないか"。

・もう一つ、島国の日本は異民族に支配された歴史がなく、同質の民族が共同作業の多いコメを作りを続けたこと(中国における調査研究で麦作地域より米作地域が協調性重視)。

 

・結果として、協調性が大事という教育が行われ(制服着用でみなランドセル)、集団で浮かないようにたたかれないように気を使う若者が増える‥‥という困ったことが続いています。

 

・会社で今までない新しい雑誌を作ったり、デジタル化や組織や規則を変えようとした経験から言えば、現状を変えたくない人の方が圧倒的に多かったです。会議で意見を戦わせることもあまりありませんでしたし。多様化して人と違うことをやらなければ、イノベーションも内需拡大も地方創生も起こらないんですが。

 

・ところで、人はそれぞれ自分の辞書を持っています。学者や評論家の欠点は、仲間内で通用する言葉を使ってしまうこと。一般向けの本では小中学生向けぐらいの辞書で語ってほしいです。

・ドーパミンやセロトニンはいいとして、所与性、相転移、シナプス間隙とかは自分の辞書にないのでピンときません。辞書を引けということなんだろうけど、そこで思考停止し先に行けなくなります。

 

・それと鴻上氏は"世間と社会"という対比をしてます。氏は「世間」とは学校のクラスメイトや会社の同僚、地域のサークルや親しい近所の人たちによって作られている世界とし、その反対が社会だ言うのですが、世間は辞書にあるように「世の中、社会」と理解しているので、ピンときません。

 

・もう一つ、中野信子氏の"はじめに"は、なにを言いたいのでしょうか。鴻上氏との関係を語っているのだけれども、読み手と無関係でこれもピンときません‥‥と、つい編集者の目線から見てしまいます。まあ、読んだ理由は鴻上尚史氏、中野信子氏お二人とも、今どき正鵠を得た評論をする言論人だからですが。

次号1月16日月曜日

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