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良質な保守の政治家がいない日本
・国際政治学者・高坂正堯(まさたか)さんの新刊が出たので読んでみました。新潮選書「歴史としての二十世紀」。1990年の講演をまとめたもので初の書籍化だそうです。
・高坂氏に関して思い出すのは「ゆっくり進歩することを保守という」なる言葉。あべ政治以降の、時代を元へ戻そうとするような懐古主義は"保守"ではありません。それが多様性とイノベーションさらに景気浮揚を阻害しています。昔は自民党にも良質な保守人がいたんですが‥‥。
・本の中にある政治へのフレーズをいくつかピックアップしてみます。「威信があり、他人を従わせる迫力、能力が政治家に必要」「その意味で日本の政治家は2流である」「しかしそのおかげでビジネスは自由になり経済発展した」。さらに「気が小さくて、良心的がこの国民の性格」というのはその通りで、だから戦争に加わらずにこれたのでしょう。
・「嫌なことをするのが政治である、必要な土地の収用とか増税とか、それを言う首相は信用できる」「なにもかもうまくいく体制はない。修正を加えながら現体制を百年後まで伸ばしていくのが好ましい」。
・こういうのが保守の考え方です。立ち位置は少し違うけど、好きな学者の一人でした。この講演の7年後に、残念なことに62歳という若さで早逝。今いたら昨今の政治状況をどう論評したでしょうか、興味があります。
次号12月18日月曜日
by 2023.12.15