クールシニアのウェブマガジン

毎週月・金曜日発行

クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:メディア 

知的好奇心を満たすのは本です

・1か月に一冊も本を読まない人が62.6%だとか(2023年調査。2018年は47.3%)。読書時間はSNSに流れています。当方も減っていますが、これは興味の範囲が狭くなったこともあります。

 

・出版社にいたこともあって、今も三日と空けずに書店を覗きます。翻訳ミステリーの文庫新刊と、興味を惹く新書をチェックするのですが、幅広く目を配ることはなくなりました。

 

・しかし面白い本見つけると嬉しくなります(本を読まない人に比べて世界が広がります)。昔は新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、そして書店巡り(学生時代は古書店、編集者時代は洋書店"銀座イエナ"も)が日常でした。

 

・今はどうかというと、SNSやキューレーションサイト(まとめサイト)がメインですが、文庫の新刊はいまだに新聞か書店店頭。で、面白い、マニアックな本は友人情報が多いです。

 

・ただこの間珍しい遭遇をした本があります。"あるセンス"でモノを集めた、いわゆるセレクトショップのガラスケースの中にあった本「植物学者の散歩道」舘野正樹・著、閑人堂 2200円。著者は東大准教授で日光植物園園長。知り合いの本が何冊かあったので、店主の感性と近いのかもです。

 

・東大出版会のPR誌に連載したエッセイをまとめたものです。"古い木造建築をみると周辺に生えていた樹種がわかる、接木挿木は植物版IPS細胞、温度が一定だとエアプランツは枯れる、イチイの名前の由来(北海道にいた子供の時、このオンコノミを食べた)"など植物にまつわる素朴な疑問を綴った、寝る前に読むのにちょうどいい随筆集です。

 

・通常のメディア(SNSを含む)や、減ったとはいえ一日180冊の新刊が届く書店ではまず見つけられない一冊。大手取次を介さず出版社とショップの直取引のシールが貼ってあります。"干し草の中から針を探す"という面白さがあります。

次号8月8日金曜日

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