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データだと日本人は変

・ちょっと前「ファクトフルネス」という本が売れました。"データでみる世界の実情"といったもので、数字をみれば世界は、犯罪も貧困も減り、栄養状態も良くなり、女子の教育は伸びている‥‥と、"世の中悪くなっている"という気分や思い込みが間違っていることを指摘しました。最近も"先進国でガンが増えているのは日本だけ"とミュージシャンのGACKTが出典を示さず言いましたし。
・最近読んだ「はずれ値だらけの日本人」星海社新書も目から鱗です。著者の本川 裕氏は東大の農学部を出て各種シンクタンクで活躍した、統計データ分析のスペシャリスト。内容を一つ取り上げると、日本人の身長について。
・大リーグの大谷翔平夫妻の身長は193cmと180cmで、日本人は大きくなったもんです。身長の伸び率が世界でも類をみないといわれています。2025年の最新データでは日本人の平均身長は男172cm、女159cmに(アメリカ人は176cmと162cm)。
・理由は経済発展による栄養改善・食生活と社会の開放自由度の増大(データ上の節目は明治維新と大戦後の昭和後期)、ところが最近伸びがストップしたといいます。で、ここからは推論。韓国や中国がまだ伸びていることから、日本人のルーツである南方民族のDNAの影響ではないかと。暑いところでは体は大きくならない。最近の研究で猛暑の海ではクマノミが体を小さくして生き延びているらしい(7月31日朝日夕刊)。小柄な人間の方が酷暑に耐えられるという事になります。
・スリムで体の小さくなった日本人はカロリーを必要とせず、先進国の中では稀有な少食化が進んでいるといいます。これが肥満度の低下と長寿につながっています、同じように経済成長した韓国や中国では肥満が深刻な社会問題となっているのに。
・これ以外にデータでわかった日本人の変なところ。日本は生産性が低いといわれるが、無駄に働くのが好き。しかし長時間労働でも疲労度は低い。働いていないと気が済まない国民性。肥満度が低いのは米食のため。"生活習慣として無駄を避けないことによる低い労働生産性が肥満を避けることにつながり、長い平均寿命に結びついている"。無宗教なのに霊的感度世界一。日本人は神を信じたり信じなかったりする‥‥などなど、日本人の世界の中での風変わりな数値が満載、なかなか示唆に富んだ一冊であります。
次号8月15日金曜日
by 2025.08.10