カテゴリ:野遊び メディア
虫とミステリーが好きな人の小説
・夏休みのせいか、テレビでも雑誌でも昆虫が登場しています。「むしむし探し隊」という子供たちを昆虫採集に連れて行くNPOに参加しているのですが、雑誌ブルータスのアウトドア特集でこのNPOを取り上げていましたし、監修の一人、養老孟司さんも相変わらず引っ張りだこです。
・そんな中、犯罪捜査に昆虫学を使うユニークなミステリー小説が目に付きました。川瀬七緒「水底の棘」四六判 講談社刊で、作者は第56回江戸川乱歩賞受賞作家です。警視庁の刑事と昆虫学者が難解な殺人事件を解決する警察ミステリーですが、出てくる昆虫はハエやユスリカで、これに熱中する虫マニアはあまりいないと思います。
・虫好きが楽しめるのは、この法医昆虫学捜査官の第一作である「147ヘルツの警鐘」で、蜂の子で有名なクロスズメバチが事件解決の決め手になります(この書き下ろし単行本は今月の講談社文庫新刊)。最後の詰めがバタバタしていますが、そこそこ楽しめます。
・昆虫が事件解決のポイントになる警察ものといえば、知り合いの作家・平野 肇氏の昆虫巡査シリーズがあります。「昆虫巡査蜉蝣渓谷」小学館文庫刊は三浦友和が主人公役でテレビドラマ化されました。
・いずれの昆虫ものも問題が一つあって、昆虫学者と刑事、昆虫マニアの巡査とルポライターというコンビが事件を解決するのですが、どちらが主人公か明瞭でなく読んでる方は感情移入がしにくいことです。
・コミックの世界ではこういうことはなく、キャラクター設定はもっとシンプルで明快です。絵で表現するからそうなるといえますが、これが漫画と小説の違いですね。
・昆虫観察、採集に欠かせない捕虫網、デパートやコンビニで売られている玩具ではない本格的な道具は、志賀昆虫普及社かむし社にあります。上は携帯に便利なスプリング式(柄はカーボン)、下は枝ごと払って虫が採れる四つ折り式(柄はアルミ)。いずれも東京・JR中野駅そばのむし社で。
次号8月18日月曜日
by 2014.08.15