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ニッチマーケットが日本を救うという話
・流木専門店というショップがありました。文字通り流木と流木アクセサリーを売っているインテリアショップです。面白いと思いますが、やってけるんだろうかと余計な心配をしてしまいます。
・しかし、日本経済を救い、内需拡大をもたらすものは、実はこのニッチマーケットだということを、成熟社会の日本は気が付かなければなりません。
・地方分権と規制緩和が果たす役割は実はここです。小さなものも積み重なればマスになります。新たな潮流は常にここから始まるのですが、いつの間にか大量生産大量販売ばかり考えるようになってしまいました。
・タンス預金が50兆円あるといわれるのに消費が伸びないのは、老後不安もありますが、必要不可欠なものはみな持っていて、迫られて買うようなものがないからであります。
・あるのは必需品以外の「個々の好きなもの」になります。ただし多様化し細分化しているので、マス宣伝し大量販売するようなものではありません。
・この結果、アメリカや中国で稼ぐしかない自動車会社、爆買いに頼る百貨店や店舗整理の進む大型スーパー、ユニクロの海外シフト、大量に売るものが見つからずB to Bで凌ぐ電気メーカー、出版界の売上減と、昨今おなじみのニュースになります。
・解決策はあります。多様化細分化した消費者と、膨大な情報とをマッチングさせること、わが国は最大化(中国のような)ではなく最適化のフェーズに入っているのです。
・例えばハワイ好きの人がいたとして、ハワイのツアー情報から、今ハワイで人気のCD、来日ミュージシャン、今年流行のアロハシャツ、フラのイベント、ウクレレ新製品、映画、テレビ番組、書籍などなど「好きなもの」がその人に集まるような仕組みが必要です。
・5年前に「スマートメディア」で書いたとおりなのですが、未だにこのワンツーワンのウェブマーケットができていません。本来雑誌が担う役割なのですが、今もって印刷物に拘っています。もはや主はウェブで、印刷物はそこから生まれる重要なストック型商品なんですが。
・このままだと、あらゆるものがインターネットにつながるIoTと、マイナンバーとが結びつくまで待たなければなりません。それまで個性的で優れた夢のあるものを作っている組織が生き残っていればいいのですが。
・吉祥寺のハモニカ横町にある犬のケーキ屋「COCO'S SWEETS」。この場所の前身は松本観賞魚店という日本唯一の淡水魚専門店(その娘さんが犬のケーキ屋)で、淡水魚ファンの貴重なショップだったのですが、さらにニッチになりました。フード系はさすがに時代に敏感でニッチマーケット花盛りです。今まで紹介した稲荷寿司専門、パイ専門、産地直送製造チョコレート、ナッツ専門などなど。
・町外れの五日市街道沿いにあるものの、客が絶えない犬のアクセサリーショップ「WATER DOG GARDEN」。出版業界でも猫専門書店とか料理専門書店とかのカテゴリー型店舗が人気(セレクトショップではなく)。左利き専門ギターショップ、旅自転車専門、透明傘専門とか高齢者向けブティックとか、長続きしているのはそんなところばかりです。
次号4月22日金曜日
by 2016.04.18