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グローバリズムの終焉とナショナリズム回帰
・グローバル化とかグローバリズムとか、長い間信仰に近い感じで皆仕事をしてきた気がします。企業は国を越えて世界へ広がり、消費地でモノを作ることが当たり前になりました。トヨタやパナソニックやユニクロはもはやどこの会社かわからなくなっています。もちろんアップルもVWもエレクトロラクスもです。本籍は日本でも現住所は世界中。
・ところがここへきてそれに待ったをかける動きが出てきました。グローバル企業は利益を上げても民に金は回らない、一部の支配階級だけが潤って格差は広がるばかりというわけです。
・かくしてイギリスはEUを離脱し、アメリカはトランプを選びました。まあ、ヨーロッパの場合は難民流入がきっかけですが、保護主義に走るのが世界のトレンドのようです。
・来年はEU大混乱は必至、アメリカはトランプで不透明感が増し、中国は問題が多過ぎ……と、どうしたらいいかわかりません。そんなわけでこの新書は参考になります。
・「グローバリズム以後」アメリカ帝国の失墜と日本の運命…朝日新書。著者のエマニュエル・トッドというフランスの人類学者は英国のEU離脱とトランプの勝利を予見したといいます(あの「シャルリとは誰か?」の著者です)。
・よく「新書は感心したフレーズが1行あれば充分」といいますが、では世界はどうすればいいかのトッド氏の結論は以下の通り。「世界を欧州、北米、極東に分けるべきだ。それぞれ内需を拡大し、地域経済を立て直し、各極を基礎に置いたグローバル化を構築すべきだ。日本、中国、韓国は共通の経済の可能性を探る機関を設立した方がいい」。
・同感です。
次号12月9日金曜日
by 2016.12.05