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今の書籍はシニアに優しくない
・ミステリー界の巨匠、ジェフリー・ディーヴァーの最新刊「ブラック・スクリーム」四六判上製496Pと、これまたホラー界のトップ、スティーブン・キングの「ミスター・メルセデス」上下の待望の文庫版が出ました(2016年刊上製・上下2冊なので手が出ませんでした)。
・上製本の2~3年後に文庫本が出るのは、上製でまず本好きに売って少々稼いで、その後文庫本で大きく売り上げるためですが、まあ出版社の都合です。
・上製本は持って読むにも持ち運ぶにも重くて、シニアに優しくありません。軽い文庫本も字が小さく(ハヤカワ文庫以外)、栞紐(リボン)がないのでポストイットを貼らなければならない(これがあるのは新潮文庫のみ。先駆者の岩波文庫はコストダウンで早々と中止)。
・さらにさらに、ジェフリー・ディーヴァーが面白いと思って既刊本を探しても、書店に揃ってません。アマゾンで頼むほどではないと思うシニアもいて、購買機会の損失です。
・スペースが限られているので仕方ないのですが、それなら、すべて揃える文庫専門店(中古本も含めて)があればいいのですが、まだないです。
・ことほど左様に、今やメイン読者である中高年、シニアに出版業界は優しくない。これでは細っていくばかりですが、なにより困るのはマイナーと言える海外翻訳ミステリーの新刊が書店の棚から消えていくことです。早川書房と東京創元社に頑張ってもらうしかありません。
・ところでディーヴァーの新刊は、ちょっとパターン化したこのところの低調さと変わり、イタリアで捜査にあたる主人公のリンカーン・ライム、血も多く流れず、諜報員も登場したり、もちろんお馴染みのどんでん返しもあって久々に面白いです。しかし、重い、高い(2500円)。
次号11月16日金曜日
by 2018.11.12