カテゴリ:メディア
曲がり角の我らが資本主義について
・NHKの朝ドラ「まんぷく」を観ていて思うことあり、です。みんなが喜ぶ簡単で安心、美味しい即席ラーメンを開発します。市場で競争し、広告を打ち成功するのですが、つぎの商品(チキンラーメンより偉大といわれるカップヌードル)を開発しなければならなくなります。
・家族は当然ですが、増えた社員、大きくなった会社を維持するために次の手を打つ必要に迫られます。良いものを作ろうという最初の理念より、規模の維持や拡大がテーマになるんですね。我らが資本主義の宿命です。
・前年比プラス、売上増のための新製品開発です。さらに生産性や効率を求めていくと、この先はAIとロボットが仕事をするようになり、資本家だけに富が集中し、格差はさらに拡大することになります。
・今のシステムを考え直した方がいいのでは? ということをちょっと考えさせる本があります。『14歳からの資本主義』という新刊(四六判並製大和書房)。
・“君たちが大人になるころの未来を変えるために”という大げさなサブタイトルが付いていますが、NHKで放映された「欲望の資本主義」の制作統括プロデューサーが、中学生向きに書いたジュニア版ビジネス書と言えます。
・「資本主義は、いま、大きな曲がり角にあります。」という1行で始まり、あの著名な経済学者・ケインズからスティグリッツ、ガブリエル、セドラチェク、コーエン、シュンペーターなどなどの知の巨人たちの言葉を引用しつつ、現代社会を分析します。
・大人が読んでもいい内容ですが、何しろ世のそうそうたる学者も手の打ちようがない状況なので、どうしたらいいのかという結論はありません。
・読みやすいので、頭の体操にはいい一冊です。結局のところ、生命進化の基本原理である多様化と持続可能なシステムを探すしかないのですが。
次号3月18日月曜日
by 2019.03.15