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新産業革命がおこるという本の感想
・クリス・アンダーソンの新刊が出ました。「MAKERS」(NHK出版 四六上製1900円+税)。アンダーソンといえば、「ロングテール」「フリー」という本を書き、ウエブビジネスのトレンドを予見したUSAワイアードの編集長です。
・こんどの「メイカーズ」は、IT革命の次のステップ、ものづくりが変わり新産業革命が起こるという提言です。情報伝達がマスメディアからメール、ブログ、Twitter、Facebookなどの個へと変化したように、製造業もフラット化して誰もが参入できるようにな時代が来ると言います。
・それはローカルファクトリーで、ニッチ産業だけれども、ITとネットを使い、アイディアさえあれば第2、第3のジョブズ(アップルの創始者)に、すなわちメイカーになれると説きます。
・冒頭に誰もが製造者になれるとして3Dプリンターの話が出てきます。パソコンで欲しいものの形を設計すれば3Dプリンターが立体で出力、スマホのカバーなど好きなものが作れるというわけです。
・個人用のそれは今や1000ドルぐらいで手に入るそうですが、精度の高い市販品には程遠いし、ずいぶん先の話でしょうね。実際問題として自動車や家電製品のようなものは、いくらITが進化しても個人や小組織が手を出せるものとは思えません(電気自動車だと作りやすいといっても)。
・それよりも既存の企業がITを駆使して小ロットのニッチマーケットと向き合う方が面白い(印刷はすでにそうなっています)。
・それにニッチなものを作る人は昔もいましたし、いまだって世界中にたくさんいます。
・問題は、アンダーソンの言うように製造しやすくなることではなく、そういう優れた面白いニッチな製品と、細分化して多様化したユーザーを結びつける方法のイノベーションだと思います。
・そうなれば皆作るようになるし、作り方も必然的に進化します。その1と1をつなぐ新しい流通革命こそ、これからのビジネスだと思うんですが。少なくとも日本では、それをやらないと内需は拡大しないでしょう。
次号11月16日金曜日
by 2012.11.11