クールシニアのウェブマガジン

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:メディア 

小説とムービーの違いを再確認

・暗殺者グレイマンのマーク・グリーニー、極大射程のスナイパーもので知られるスティーブン・ハンターが激賞というコピーにつられて、早川文庫の新刊、ジャック・カー著「ターミナル・リスト」上下2巻を手に取りました。

 

・物語は復讐アクションものです。ハメられて部下を失い、さらに妻子も殺害された米海軍特殊部隊ネイビーシールズの指揮官(作者も同じ)が報復に立ち上がります。タイトルのとおり殺害リストを作り、一人また一人と倒していきます。

 

・犯人探しをするのがミステリー、犯人側からも描くのをサスペンスというそうですが、この小説は割と早めに陰謀側からも描かれるので読者は次の展開が容易に想像がつきます(最後の方で一つだけ意外な展開がありますが)。

 

・サスペンスでも次はどうなるかは重要で、目的に向かって淡々とすすむと、ドキュメンタリーになってしまいます。同じように感じたのは本屋大賞を取った「同志少女よ、敵を撃て」で、ロシアの片田舎の少女が狙撃兵として成長していく様を描いた物語は、タイトルから想像するようなエンターテインメント小説として読むと裏切られます。

 

・長年コミック編集に携わった身からすると、このような物語構成の場合は、次どうなるかの展開、伏線、ドンデン返しなどの意外性に、かなり工夫が必要になります。

 

・この「ターミナル・リスト」は、TVドラマ化されていて、アマゾンプライムでこの7月1日から配信開始されました。アマゾンオリジナル全8話のTVシリーズです。

 

・ムービーの場合、ストーリーテリングの工夫がそれほどなくてもカーチェイス、銃撃戦、爆破などの音と映像の迫力で120%引き込まれます。文字と動画の最大の違いはこれです。小説やコミックでは何台高級車をクラッシュさせても「おお!」とはなりません。

 

・TVドラマ「ターミナル・リスト」は小説とかなり内容が違っていますが、どちらかというとこっちの方が楽しめるかもしれません。ただし、復讐に協力してくれる人物の背景や理由は小説を読むと納得します。

次号7月15日金曜日

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