クールシニアのウェブマガジン

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クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:ミュージック 

神が宿る聖なる木コアウッド

2000年ごろオーダーしたウクレレが十年以上たってやっと届きました。それも注文したものではなくハワイのウクレレショップのサイトに載ったカスタム・オーダーを手に入れたのです(ウクレレ・サイトの番人・マック鈴木が見つけて教えてくれました)。

 これがそのコンサート・ウクレレなんですが、手にとって見ているうちにボディーサイドになにか浮かび上がっているのに気がつきました。観音像でしょうか不動明王でしょうか。素材はコアウッドというハワイ特産の木で、なかでも珍重されるフレイムコアという木目の美しいものです。

 アップはこれ。楽器は左右対称の材を使うので反対側にも同じような模様がありますが、こちら側だけ像に見えます。コアウッド(Koa wood)というのはアカシアコアとも呼ばれ、マメ科アカシア属の密で硬い高木でハワイでも標高の高い森林にあります。ハワイでは昔から不思議な力が宿る神聖な木といわれて、カヌーや槍、サーフボードなどに使われてきましたが、今や稀少材になって保護樹木になっています。ウクレレの素材としても有名で、明るく乾いたコアの音がウクレレらしさの象徴になっています(ハワイ・ウクレレの代表のカマカがオールコアですし)。音はローズウッドとマホガニー(ともにアコースティック・ギターのボディーとして有名)の中間といわれますが、コアは個体差が大きいとも。

 右が届いた新しいペガサス・コンサート。ルシアー(ヴァイオリンなどの弦楽器制作者)はハワイ島ヒロ在住のボブ・グリースンで、年に数本しか作らないのは知っていたのですが、今オーダーの入っている分しか作らないということを聞きました。コアウッドの伐採・取り扱い資格を持っているので、素材ビジネスとウクレレ弦のヒロ・ストリングスだけに注力するとかで残念です。左のまったくペガサスと同じ形状のコンサートはボブの息子・ロビン製作のアイランドトラディション・ブランド。ペガサスが手に入らないので、木型がたぶん同じと思われる息子のウクレレを5年前に手に入れました(なんとロビンもウクレレ製作を中止して、消防士になってしまったそうです)。そんなこんなで価格があがってしまったペガサスですが、超円高で良かったです、78円台ですから。

 同じペガサスのソプラノと並べたところ。上に塗る塗料で色が変わりますが、コアは薄い黄色から赤い色までヴァリエーションがあるようです(写真はゴールド)。また、前述のコンサート2本、スケールもボディーもプレミアム・コアウッドもほぼ同じなのですが、音色は驚くほど異なります。ウクレレは一本一本違うのはわかっていましたが、やはりコアの特性かもしれません。さて、神木コアウッドですが、Koaの意味はハワイ語で戦士、あるいは勇気といいますから、あの浮かび上がった像は不動明王でしょうか。

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