クールシニアのウェブマガジン

毎週月・金曜日発行

クールは「カッコイイ」ですが、背筋をのばして歩く60+シニアの情報を集めます。

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エディター

中村 滋 Shigeru Nakamura

BE-PAL、DIME、サライなどライフスタイル雑誌を創刊。

カテゴリ:野遊び 

世界初の飛行機は玉虫から

・宮崎 駿監督の映画「風立ちぬ」が公開されていますが、零戦のはるか昔、ライト兄弟より14年も前に日本人が飛行機を考えたことはよく知られています。その二宮忠八が明治26年(1893年)に玉虫型飛行器を設計しますが、発想は玉虫の翅の形を見てという話があります。あの国宝・玉虫厨子のタマムシです。

・その日本を代表する宝石虫である玉虫を見に東京・練馬にある光が丘公園に出かけました。玉虫の食草がエノキということは知っているのですが、その木の下に立って梢を見上げてもどこにいるのかわかりません。なにしろ忠八がヒントを得ただけあって飛翔力に優れ、はるか樹上を舞う玉虫はとても見えません。

・というわけで大野さんという虫に詳しい熱狂的ファンにガイドして貰いました。 近くで観察するためには、まず産卵用の枯れ木を探します。それも古木ではなく新しい枯れかかっているものがベストで、それが「ご神木」だそうです(毎年変ります)。

・産卵に使われている木は孵化していった玉虫の穴が空いているのでわかります。木の種類は、光が丘公園はコナラが多かったのですが、クヌギでもサクラでもケヤキでもいいようです。そのご神木のそばでジッと待っていると、高いところにとまった玉虫が産卵のため根元におりてきます。そこを観察するのですが、飛行能力だけでなく、視力も優れていて人がいると上へ戻って行ったり、裏側に隠れたりします。

・と、なんとも可愛らしい虫です。昔はこの玉虫を吉丁虫ともいい、箪笥に入れておくと着物が増える、お金に困らないとか言ったそうですが、標本ではない生きてる玉虫はさらに美麗で一見の価値ありです。

・裏も横も金属光沢の美しい玉虫。正確には甲虫目タマムシ科ヤマトタマムシ。最近、増えてるらしいです。

・近寄れないので撮影は超望遠が必要。写真は35mm判換算で600mm相当のレンズ。当然三脚が欲しくなります。

・なんとか撮影した一枚。逃げるので木の周りを三脚を抱えてグルグル回りました。

・虫が這い出した枯れ木。玉虫はこのような楕円の穴。産卵後、幼虫は枯れ木を食うので生木の害虫とはいえませんが、材木屋にとっては天敵かもしれません。

・玉虫の生態、飼育について書かれたユニークな本があります。芦澤七郎著「千年の輝きーヤマトタマムシ生育の秘密」知玄舎1200円+税

http://chigen.ddo.jp/~chigen/

・知り合いからこんな情報をもらいました。涼しげな風鈴の音が心地よい候ですが、風鈴の短冊はペラペラの紙で、あまり質の良いものではありません。そこで常磐津の古い和紙を柿渋で処理した、それこそ渋い短冊を作った人がいます。

http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k163040782#

次号8月16日金曜日

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