カテゴリ:季節 野遊び
渓の楽しみに加わった苔観察
・Study nature,not books(自然に学べ、図鑑ではなく)と言ったのは、ハーバード大の教授だった博物学者のルイ・アガシーですが、自然の楽しみ方は、自然への好奇心の量に比例します。興味があってそれなりの知識がないと周りに気がつきません。
・釣りで渓流に入ると、野鳥、昆虫、山菜、木や山野草の花と会えて、釣れなくても楽しみは沢山あります。最近加わったのが苔観察で、今まで見過ごしていたのですが、川辺には多くの蘚苔類が生えています。
・写真はたぶん水辺に多いというカマサワゴケだと思いますが(初心者に苔の同定は難しい)、青々と岩を覆っていました。川釣りの最後は、竿を持って釣りをせずに谿を眺め、石を愛でるのが到達点という話がありますが、その一つ前が苔観察といえます。まだ歩けるからです。
・前にコケテラリウムの話をしましたが、苔は密かな流行のようで、各地で小さな苔観察会が開催されています。たしかにそういうイベントに参加して教えてもらわないと、図鑑ではわかりません。山菜やキノコの同定と同じで、まさにStudy nature,not booksです。写真は比較的わかりやすいオオジャゴケ(と思います)。
・擦ると独特の香りがします。アップで見るとなるほどヘビの鱗のような蛇苔。
・竿を振っていて、巣に近づいたのか威嚇されたことがありますが、ヤマセミの死骸。この羽根は法律では拾ってはいけないそうです、よくわかりませんが。
・毛鉤釣りをしていると、多少は水生昆虫に詳しくなりますが、こんな風にヘビトンボ(水にいるときは孫太郎虫)が集まっているのは珍しい。
・水辺にはセリやクレソンなどの山菜がよくあります。野生のワサビもしばしば見かけます。
・大水の後、水溜りに取り残されたイワナの子供を救出。
・初夏の渓流でよく見かける九輪草の花。大型のサクラソウ一族。という風に、苔が生えた古い釣り人は、釣れなくても心を鎮める術をいろいろ持っています。
次号5月4日金曜日
by 2018.04.30