カテゴリ:野遊び 絶滅倶楽部
昔風景スケッチ旅「蒔田」
埼玉県の北西、長瀞から近い蒔田(まいた)地区にある茅葺き民家を訪ねました。荒川の河岸段丘に点在するということだったのですが、道路から見える茅葺きは崩れていたり、人の住まない農村歌舞伎の舞台だったりで、もはや消滅してしまったのかと思ったのですが、犬の散歩をしていた村人に少し離れた場所にある内田家を教えてもらいました。
昭和46年に国の重要文化財建造物に指定されていますが、家人の話では平成13年まで使っていたそうです。内田家は小田原北条氏の流れをくむ武士で、旧蒔田村の永代名主を務めた家柄だけあって、茅葺きも一般的な寄せ棟造りではなく、家格の高い家に多い入母屋造り。江戸時代中期の代表的大規模養蚕農家の様式で、大黒柱が幅33センチもある堂々たる民家です。
まわりにほかの建物、電信柱、舗装道路などなく、草地、畑地に囲まれた絵になる茅葺きです。
建物の前は背の低い果樹とトウモロコシ、大豆などの畑地で、黒い背後の森に茅葺きが映えます。場所は長瀞から皆野へと秩父電鉄に沿って下りてきて、秩父電鉄・和銅黒谷駅さきの和銅大橋前を右折、和銅大橋入口信号を突っ切って少しいったところで茅葺きが右側に見えます(小さな看板あり)。
裏側はまさに江戸時代のままの風情。
道路から見えた茅葺き。崩れかけて使われていない。
ミゾハギ揺れる晩夏の茅葺き風景。三棟のうち右側の精進堂という集会所が見えている。
ネギ畑、墓石と農村歌舞伎が盛んだった明治初頭に作られた茅葺き舞台(中央)。百年前から変わらぬたたずまい。
赤とんぼを代表するアキアカネが山から下りてきています。未熟期のためまだ体が黄色い。これからだんだん色が濃くなって(一ヶ月以上かかって)朱色の赤とんぼに変身します。(水彩スケッチ画・雪村 旬)画の無断転載不可
by 2012.08.16