カテゴリ:季節 野遊び
キリギリスは秋の季語ですが夏の虫です
・「きりぎりす 鳴くや霜夜のさ筵に 衣片敷き ひとりかも寝む」は、平安時代の歌人・藤原良経の有名な歌ですが、霜夜ですからこのキリギリスはコオロギのことでしょう。松尾芭蕉の奥の細道にある「むざんやな 甲の下の きりぎりす」はどっちでしょうか。詠んだのが旧暦の7月下旬(現在の8月下旬)だし、場所がかぶとの下なのでこれもコオロギかもしれません。
・鳴き方はギーッ チョンですが、ギーッだけでチョンがないヒメギスという一回り小さく茶色いのがいて、東京郊外ではこればかりだったので、関東地方ではいなくなったと思っていました。ところが多摩川にいるというので行ってみると、広い草地で、猛暑にめげず鳴いていました。
・こういう膝下の低い草地はキリギリス観察に最適です。キリギリスは敏感で近づくと鳴き止みますが、ジッと我慢しているとまた鳴くので少しずつ距離を詰めます。気がつかれてもトノサマバッタのように翅で遠くへ飛ばないので追いつけます(脚力はたいしたもので60cmぐらい飛びます)。
・飼育は簡単です。余り野菜(小松菜と人参をよく食べました)と水だけで一日中よく鳴きます(夜も)。日本の夏は、金鳥の蚊取り線香と風鈴、それにギーッ チョン。だんだん上手になって音が澄んできます。
11月頃まで生きますが、1週間ほど楽しんだので草原に返しました。採集が難しい人は鳴き虫専門店AkiMushiで手に入ります。ヒガシキリギリスが850円ほどです。
次号8月26日月曜日
by 2013.08.23